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発振しやすい回路例とその対策~オペアンプ初級者向け簡単解説

オペアンプは発振する可能性がある。

その主な回路例を把握しておくと事前に防ぐことができると思うので、その対策(補償)方法も含めてまとめておく。

そもそもオペアンプ回路に負帰還が必要な理由は、出力電圧を安定させるため。

負帰還がないと、オペアンプ自体の増幅率で大きく増幅してしまい、出力が電源電圧に張り付いてしまう。

オペアンプ自体の増幅度は、だいたい10^5倍(=10万倍)位

オペアンプは、オープンループゲインが理想的には無限大、現実的には10^6という大きな値

オペアンプ回路の電源電圧は3.3V、5Vの場合が多く、大きくても15Vや24V

→10mVの小さな入力信号でも簡単に電源電圧に到達してしまう。

しかし負帰還をつけると、増幅率は抵抗R1とR2で決まり、出力電圧が安定する。

そして周波数特性の増幅度は小さくなり、帯域幅は大きくなる。

帯域幅とはグラフが下がり始めるところまでの幅

  • 一般に、位相余裕(位相マージン)は45°(できれば60°)をとるのが普通
  • ゲインを大きくすると周波数特性は低下するが、発振しにくくなる

発振する回路例

①入力端子間に容量を接続

入力に接続されたCと帰還抵抗で発振する

②入力対GND端子間に容量を接続

入力に接続されたCと帰還抵抗で発振する

③出力に大きな容量負荷を接続

出力に接続されたキャパシタCが大きいと発振する

オペアンプの出力にトランジスタを接続

この回路のプッシュプル回路を構成すると、RBと外付けトランジスタのEB間容量の影響で稀に発振させる設計になっている

⑤出力負荷にFFC(Flat Flexible Cable)を接続

FFCの寄生インピーダンスLおよびCで発振する

⑥帰還抵抗を1MΩ以上で設計

オペアンプの入力端子に接続された寄生容量Cと帰還抵抗(1M程度以上)で発振する

分類

完全補償型

ポールが1つで、安定性を内部の位相補償回路によって確保

→フィードバックを100%かけても発振しない

周波数特性が悪化するため高い利得を必要とする用途には適さない

汎用オペアンプに多く採用されてる

非補償型

ポールが2つある

完全補償型オペアンプと比べて利得帯域幅積(GB積)が広い

ゲインを小さくすると動作が不安定になるので位相補償が必要

位相補償方法

非補償型オペアンプに対して

主に上記方法がある。

2ポール補償とフィードフォワード補償の原理は複雑なので、1ポール補償についてだけ説明する。

1ポール補償

位相補償用の端子が用意されているので、コンデンサを接続。

これにより1次ポールの位置を左にずらすことができる

(帯域は狭くなるが位相遅れが少なくなる)

コンデンサの値は、必要とするゲインの位置で横線を引き、オープンループゲインと交差する点での位相マージンが45°(できれば60°)になるように求める。

2ポール補償

2ポール補償は階段状にゲインを変化させるラグリードフィルタを使用

フィードフォワード補償

フィードバックループを介さずに信号の高周波成分をバイパスさせる

完全補償型オペアンプに対して

完全補償型オペアンプ単体では発振しないが、外部要因で発振する可能性はある。

例)プリント基板の配線パターン要因の浮遊容量による入力容量や負荷容量Cl起因でR2とCi、Ro(オペアンプの出力抵抗)とClの経路によるLPFで、新たなポールが発生し位相遅れ

Ciによるポール周波数:f=1/(2π*Ci*(R1//R2)) ※通常は高周波になる

Clによるポール周波数:f=1/(2π*Cl*Ro)

Ciに対する補償

対策:下記のようにCf2のコンデンサを追加

(Cf2、R2、R1による位相を進める進相補償回路)

※容量値の目安:Cf2=Ci*R1/R2

なお、実際にはCiの値はわからないので、10kHz程度の方形波を入力して出力波形も方形波になるように値を調整する必要あり。

Clに対する補償

対策①:Cf1とRf、R2を追加

※Cf1が数10pF以下、Rfが100~220Ω、R2が100kΩ程度が目安

対策②:Rpを追加

(Ciによる位相遅れが直接オペアンプの端子に現れないように直列抵抗で分離)

Rpの値は100~1kΩくらいにすると効果あり

※Rpによる電圧ロスが発生するので注意

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