前回、opアンプの基礎となる、反転アンプ、非反転アンプ、差動アンプ、計装アンプについて触れた。
これまで回路設計者にもかかわらず、アナログ回路をあまり理解せず、避けてきた自分にも分かるよう、今回はアンプを用いたフィルタについて端的にまとめておく。
オペアンプの簡単見分け方覚え方~オペアンプ初級者向け簡単解説
パッシブフィルタ
抵抗・コイル(インダクタ)・コンデンサなどの受動素子(パッシブデバイス)のみで構成されたフィルタ回路。
外部電源を必要としないが、出力に利得(入力と出力の比のこと)を与える能力はない。
メリット
・外部電源(外部電力)を必要としないため、省エネ
・部品点数が少ないため、回路が簡単、安価
・能動素子(オペアンプやトランジスタ)では困難な大きな信号(数10Aや数100V)を扱える
・安定性が保証されている
・帯域幅の制限がないため、高周波動作が可能
デメリット
・出力を増幅する能力がないため、利得が1以下
・周波数帯域をシャープにしにくい(通過域から阻止域への遷移をシャープにしにくい)
・コイルで低周波のLPFにする場合、大きなインダクタンス値のコイル(サイズ大)が必要
アクティブフィルタ
オペアンプやトランジスタなどの能動素子(アクティブデバイス)に抵抗やコンデンサを組み合わせて構成されたフィルタ回路。
実用上はオペアンプを用いたアクティブフィルタが多い。
パッシブフィルタと対照的に、外部電源を必要とするが、出力に利得(入力と出力の比のこと)を与える能力がある。
メリット
・コイル(形状が大きくて高価)を使用せずに、周波数帯域をシャープにすることができる(通過域から阻止域への遷移をシャープにすることができる)。
・出力を増幅する能力あり(利得を与えられる)
・入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低いため、信号源のインピーダンスと負荷のインピーダンスに対して自由度が大きい
・アクティブフィルタを多段にする場合、各段独立して定数を決めることができるので、定数の自由度が大きい
デメリット
・部品点数が増えて回路が複雑になる
・設計もパッシブフィルタと比較すると難しい
・オペアンプを用いるため高周波領域への対応が困難